2010年 11月 24日
毎年の締めくくりとして『ステンカラーコート』を作っています。 昨年までは、僕が全部作っていましたが 今年からは工場で生産されます。 フィット感や 軽さを『今』に置き換えて、生地の特性を活かし 洗いをかけたり。 表情の良い仕上がりの取り入れやすい一枚。 では、多分無いです。 そういったモノも 良いと思うのですが 軽く 雰囲気の良い『コート』が作りたいのではなく、 残る『アウター』が作りたいのです。 あくまでも、力の抜けた 仕上がりのもので。 個人的に『コート』というアイテムは、『タイト』であってほしくない。 そしてもう一つ 打ち込みが良い生地でなくてはならない。 インナー・シャツ・ニット・ジャケット。それらを、包み込むのに充分なゆとりが欲しい。 そして丈夫で 雨風をしのげる物であるべきだと思う。 打ち込みの良い生地を贅沢に使うことから 多少の重さは否めないのですが、その分コート本来の美しドレープと 彼が愛した Cortefiel社のレインコートのように、着込んだ後の独特の『ヤレ感』も 全てその『ゆとり』と打ち込みの良い 素材から生まれるのだと思っています。 勿論、ある程度の時代性を見据えた フィット感には着地させているので ご心配なく。 デザインとしての魅力は勿論 一番上に着るものなのだから、機能的であるべきだと思っています。その二つがリンクするように活かしあっていれば 理想的です。 モノを入れるポケットの仕様やバランスは勿論、秋~春への気温の変化に対応可能なように 取り外しできるライニングやブランケットウールの衿。 ブランドとして、どうしてもクラシックな 素材/仕様に拘ってしまうので、↑を全て満たす1枚を作ると 非常にパターン数が多くなってしまいます。 単純に 『ファスナー』と『ボタン』の違いだけとっても 前者と後者では、考え方がまったく違います。 あくまでも 『どちらが良いということではなく』 ですが。 細かく表と裏で生地が違ったり、生地の厚みにおおじて、パターンの大きさが違ったり 芯地の種類が違ったり、糸の番手が違ったり、部分的に手で縫ったり。 ↑のパターンは表側に見える部分のみですが、実際はそれ以外にも パターンというのは沢山あります。 『デザイン』と『機能』『着心地』と『素材』を 結ぶ物として、必要に応じて 『必要だから』 必要な数だけ 存在するのです。 勿論、パターンが少なく 手間があまりかかって無くても 作った人に専門的知識が無くても 良いものは作れます。 ようするに、『作る』ということを ちゃんとしているかどうか。 名前の付いたディティールや ポケットの名称 生地の名前や由来 歴史。 『ハンドメイド』という言葉の響き、生産国、漠然としたステイタス プレミアム。 そういった『記号』を集めることに、もしかして『価値』はあるのかもしれないけれど けしてそれ自体が『拘り』ではないのですよ。 ということが、伝われば嬉しいです。 見極めようとすれば難しいのですが、単純に見て触れば感覚として伝わると思います。 表地は綿100%のギャバジン。俗に言うバーバリークロス。 基本の『き』な素材です。 非常に打ち込みの良い バリっとした素材です。多少の雨ならはじきます。 まぁ 雨の日は傘をさしたほうが良いと思いますが。 この素材良さは、勿論 着込みながらに味わえます。 キャンバスのように アタリが出て味が出る素材ではなく、やや生地が馴染んできても コシが残っていて、衿の返りや 腰周りの感じ ポケットも、何というか『こなれてくる』のですよね。 雨にぬれて、ステッチが少し縮んで、ふっくらしてきたり 少しくらい クタッとなったほうが かっこ良いので、購入後は とにかくガンガン着てください。 袖は、スプッリットラグランスリーブ。ラグランの動きやすさ+セットインの収まり。 機能面だけでなく、ちょっとしたアクセントとしても良い仕様だと思います。 袖の前振りは 嫌味にならない程度に緩やかに。 袖口は、多少広めです。 ストームフラップ。チンフラップ。 呼び方は色々ですが 今回は このような形状に。 個人的に、↑のようにしまった状態で 少し覗く まさに↑のような状態が一番ツボです。 ちなみに3段階に調節可能。 ポケット。 『機能』を満たす という発想から ポケットの数が増えるのは、必然かもしれません。 ただ、アイテムの色を殺すのもまた、ポケットであるようにも思います。だから、数が増えると それだけ野暮になる危険性が高い。 機能とデザインが上手くリンクした仕上がりを目指す上で ポケットのチョイスは、とても簡単なようで非常に繊細な仕事です。 アウターとして欠かせない ハンドウォーマー。玉ブチにフラップが被さる仕様。 大き目のローワーポケットは ポケット口とフラップが重なって縫い付けられています。 また、胸ポケットは やや下に下がった位置。 ショルダーバックを背負っても使いやすい位置に施されています。 見返しのポケットは、斜めに 下側が広めな箱口。 グローブをサッと入れられて、落ちにくい形をイメージしました。 深さは無いです。結構浅めなのも、この位置が深すぎると 後で取り出しにくい という理由から。 バックのゲーム(マップ)ポケットは 左右でセパレートする TATAMIZEではお馴染みのディティール。 スナップボタンは、錆加工された物をチョイス。 新聞とか 入れててほしいな~。 ちなみに、裏地は↑のようになっています。 袖はすべりの良いナイロンタフタ。 身頃はスレキが施されます。 秋や春。今年のように、あまり寒くない冬は ライニング無しで1枚でも 着られそうですね。 ちなみに↑がライニング。 今回ライニングに採用したのは かなり肉厚な圧縮ウール。一重仕立てですがブランケットのように、一枚で充分暖かいです。 加えて、袖口にリブが施されておりますので、袖口からの風も防いでくれます。 ボタンは全てナットを仕様。 ボタンが付く部分には全て裏側にスレキの当て布が施されています。 また、肉厚な生地を出来る限り薄く仕上げる為に(表側に余分な皺などを生じさせない、着心地を悪くさせない為)端は全て 見返しではなく パイピング処理。 勿論パイピングは綿100の杉綾テープです。 ↑が裏側。 パイピング同様、出来る限りライニングの厚みを抑える為、袖の縫い合わせや、方のダーツは 両割(縫い代を左右に倒す 割る)して 更に上から バイアスのテープでパイピングしております。 ライニングだけで着られたりはしませんが、非常に重要な役割があるものなので、しっかりとやらさせていただいております。 取り付けがファスナーではなくボタンなので、いささか面倒かと思うのですが、ボタンは取れても縫い直せますからね。 同じく 取り外し可能な ウールの衿。 こちらは、イタリア軍のブランケットを使用。 ウール100%の本格的なブランケットです。 勿論 その色や素材の雰囲気は いうまでも無く。 ウールの衿は、収まりを良くする為本体の衿よりも 大きめに作られています。 Aラインのシルエットに対して この大き目の衿が、全体のバランスを より良くしている という事が多分伝わると思うのですが・・。 装着された状態は↓の感じです。 本当に寒い日は ↑のように立てて着るのもまた 雰囲気があって良いでしょう。 衿のボリューム。そして裾にかけてのAライン。 各所の作り込みと そのバランスをご確認いただきたい。 ちなみにライニングは ↑のように 腰辺りまで。 袖口から覗く リブのバランスなども 巧妙かと思います。 その辺りのご確認もお忘れなく。 アウターというのは、他のアイテムを手に入れる感覚とは また違う基準がある物だと思います。 あくまで、個人的にではありますが 洋服の中で最も『道具』を手に入れる感覚で 選びたい。 『流れ』的な 軽いアウターではなく、ある種ローテク過ぎる仕様で 申し訳ないのですが、TATAMIZE的なご提案として 心からお勧めいたします。
by tatamize99
| 2010-11-24 17:45
| OUTER
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